琥珀色のブックエンド

well-beingの実現がライフワーク

日系組織 30代のキャリア論・出世論

35歳。役員級まで昇進する可能性もあるだろうし、課長あたりでキャリアを終える可能性もある。

このくらいの立ち位置にいる中堅層はそれなりにいると思う。伝統的な日系大組織で一定の結果を残してきた成績上位50%くらいはそんな感覚じゃないかな。一部の外資のようにUP or OUTの早期選抜が行われる訳ではない良さでもあり大変な部分でもある。

同期との間で昇格するタイミングに差が出てくる時期だけど、1、2年の差は挽回可能というかそもそも実力差というよりは偶然の産物であるケースが多い。所属チームの年齢構成だったり(少し上の年齢のライバルがいなければ昇進しやすい)、異動時期だったり(異動したてよりも自分が実績を重ねているチームにいるタイミングの方が昇進しやすい)、外部要因も結構ある。なので最速昇格組に限らず、上級管理職までアップする可能性は開かれている。

35歳で最速昇進したものの次長止まりだったり、数年遅れて昇進したが常務になっていたりするケースは普通に見る。

ミドサー(30代半ば:middle thirties)くらいの総合職に対して、建前ではなく本当に出世の門戸は開かれているこの人事システムは、多くの人にキャリアアップの可能性を残している組織の優しさでもあり、微かな希望を胸に社員を頑張らせる組織の残酷さでもある。

だからこそ、今の組織で出世を目指して頑張るべきか悩む。

「目の前の仕事に実直に取り組んでいたら、自然と地位が付いてきた」なんて言う上級管理職の言葉は嘘ではないと思うけど、そんなにシンプルな世界でもないことも皆んな分かってる。

上司に言われた事を懸命にこなしたり、自分の興味の赴くままに目の前の仕事をこなしたりするだけではもちろんダメだし、顧客の期待に応え続けるだけでも十分じゃない。

しっかり評価に繋がる仕事を拾いに行って自分のモノにする気概は必要で、ある程度ストレスを浴びつつも目立つポジションを取っていく事も必要だ。

身体を壊すくらいのハードワークをしたり、上司の靴を舐めたり、好きでもないゴルフに付き合ったりする事で昇進レースが自分に有利に進むことはあるだろうけど、多くの場合そこまでは必要条件ではない。

 

ただ、テストで高得点を取る努力だけではなくて、内申点で5を取る立ち回りが必要になり始める。クライアントや国民の方を向いて動く事こそが仕事であり、”評価のために動く”なんて面倒くさいなと言う気持ちは大小あれど多くの人は持っていると思う。

この面倒さを乗り越えて、枠の限られた出世への門を叩くのか、叩かないのか。35歳から40歳くらいのキャリアの分岐点だ。

 

人生の何割かを費やす仕事。どうせなら自分の成長に応じたやりがいを感じ、社会にインパクトを与えられる「いい仕事」をしたい。自ら窓際の席を取りに行きつまらない仕事をして何年も過ごすのは、正直時間のムダだ。「いい仕事」をするためには、キャリアに応じてポジションを上げていくことが必要になることが多い。

もちろんポジションを上げた先に、仕事の魅力や報酬と、求められる責任やタフさが釣り合わないと感じるところがあるかもしれない。人生トータルで考えた時に「いい仕事」よりも、もっと重要な時間を割くべきものが見つかるかもしれない。家族との時間だったり社会活動だったり。

その中に自分なりのバランス感覚として、人それぞれステージに応じてしっくりくるポジションがあるはずだ。結果どうなるにせよ、常にその納得できるポジションを狙える状態でいることが幸せなキャリアなんじゃないかと思う。

そのためには、”評価されるために動く面倒さ”も時に必要になるだろう。単一の組織におけるキャリアに限らず、転職するにせよ独立するにせよ、どこかで(しかもそれは1度ではなくおそらく複数回)それを意識せざるを得ない。

最初のタイミングはおそらく新卒の頃で、その時は多くの人は一人前になるために必死で頑張る。次のタイミングが、徐々にポストが限られてくる30代後半の入口だ。出世の門戸が広く開かれている日系組織の優しさと残酷さの間に悩むミドサー達は、時にキャリアの脱皮をするために”評価のために動く”ことも含めて様々なストレスと付き合う。

 

本記事の著者であるウェルビーイング系ビジネスパーソンの私は、熱血キャリア志向でもないけど、「いい仕事」を「自分にとって、しっくりくるポジション」でしたい。それが社会的に満たされた状態だと感じる。

身体的・精神的・社会的にすべてが「満たされた状態」がウェルビーイング。組織のために身を粉にして働く価値観はないけれど、しっかり職責にコミットして仕事を通して社会的な充足感も得ていきたい。それと同時に、身体的・精神的なストレスをうまくマネジメントして日々をエンジョイしていきたいとも思う。

 

こんな茶飲み話が、読者のキャリアの頭の整理に少しでも助けになったらすごく嬉しい。