琥珀色のブックエンド

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”いびきを止めるマクラ”に学ぶヘルステックの未来

Apple Watchで歩数や心拍をチェックするのが当たり前になってきている今、テクノロジーで身体をより良い状態にカスタムするヘルステックの進展は著しい。今日は、テクノロジーで「いびき」を抑えるデバイスを3つ紹介したい。どこまで普及するかは未知だが、ヘルステックの活用事例として興味深いので本記事で取り上げる。

 

自分では気づきにくい「いびき」の悩み

一説によると、いびきに悩む日本人は2,000万人いるらしい。当人はあまり気にしないかもしれないが、一緒に眠るパートナーがいる場合は本当に迷惑をかけてしまうもの。私自身もいびきをかいている自覚はなかったが(どこからその自信が湧いていたのかは不明だが・・)、かつて「たまにいびきをかいてるよ」と言われたことがある。朝パートナーから「あなたのいびきが気になって、なかなか眠れなかったよー」なんて言われたら、気まずいことこの上ない。ただ他のクセと違って、寝ている間の生理現象であるいびきは自分でコントロール出来ないのが悩ましいところ。絶対に鼻呼吸をしようと意気込んで眠りについても、いつの間にか口呼吸になっていびきが出てしまう。

 

そんないびきも、突然大人しくなることがある。隣に眠る人がポンと頭や肩を触った弾みにピタリと止まることや、ふと寝返りを打った途端にピタリと止むことがある、ようだ(自分では分からないけれど・・・)。自覚はないが、微妙に体勢が変わることで気道が良い具合に確保されていびきがおさまる感覚は理解できる。

 

「いびき」を抑える最新スリープテック

今回紹介する3つのデバイスは、いずれもこの原理を利用している。デバイスが音声認識などによってユーザーの「いびき」を感知すると、デバイスからユーザーに刺激を与えて気道を確保しやすくする仕組みだ。

 

まず紹介する2商品は、どちらも同じコア技術を採用している。いびきに反応して喉の筋肉の緩みを引き締めることで気道を確保し、いびきを防止してくれるらしい。

 

① Snore Circle(スノーアサークル):イビキ対策イヤホン

ワイヤレスイヤホン型のデバイス。寝るときに耳栓をつけたことがある方にとっては、それほど違和感はなさそう。ただ横向きで眠る人には、耳と枕の間にイヤホンが挟まることになるので、ちょっと煩わしさを感じそうにも思う。仰向けやうつ伏せがメインな方は気にならないと思う。使い捨てではないので、次に紹介するシール型のデバイスよりもリーズナブル。

マイクロサウンドとバイブレーションを出すことによって、いびきや無呼吸症候群などの原因である喉の筋肉の緩みを引き締め、気道を広げていびきを抑える、もしくはいびきの起こすことなく頻度を減少させます。

 

② Snore Circle EMS Pad Snore Stopper :喉に貼るイビキ対策パッチ

こちらは喉に貼るシールパッチ型のデバイス。寝る姿勢に影響を与えないので、快適に使えそう。また喉の筋肉を刺激するこのデバイスの原理を考えると、イヤホン型よりもダイレクトに喉に刺激を与えるこちらのタイプの方が良さそうな気もします。ただパッチタイプなので、電極パッドを張り替える必要があって①のイヤホン型よりも維持費は高めになる。

画像引用:http://weatherly.ok.shopserve.jp/SHOP/23-005.html 

骨伝導と音認識よっていびきの発生を正確に認識した後に、本体から睡眠を妨げないレベルの微弱のEMS低周波を発信し、喉の筋肉へダイレクトに刺激を与えて喉の筋肉に筋収縮運動を起こさせることで睡眠中に緩んでしまった喉の筋肉を引き締め、気道を開かせることでスムーズな呼吸をサポートします。

 

最後に紹介するデバイスは、ユーザー本人に直接刺激を与えるのではなく、いびきを感知すると枕が膨らむことでユーザーに寝返りを促す仕組みだ。

 motion pillow:イビキ対策マクラ

いびきが感知されると、マクラの中のエアバッグが膨らんで頭の位置が調整され、いびきが止まる。目が覚めることも無いらしい。先のスノーアサークルと比べてダイレクトな刺激がない分、安心感はある気がする。相当いいお値段はするけど、先述のデバイスは寝る前にイヤホンや電極パッドを毎晩寝る前に装着しなければいけない手間があったのに対し、こちらの枕型デバイスは使用に際してそれほど手間はかからないので使いやすいとは思う。高いけど。

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画像引用:https://www.amazon.co.jp/dp/B07PGRFM2X

いびきが感知された際、枕の中にあるエアバックを膨らませて、 頭を位置を調整するmotion pillowは、使用者が眠りから覚め ないよう、少しずつ空気を注入し、自然に寝返りを打つように促 します。これで使用者はいびきを一時的に止めたり、和らげるこ とができるので、ぐっすり眠ることができます。

 

本ケースから学ぶヘルステック活用術

日常のふとした気づきを、テクノロジーに昇華できるのは本当に面白いよね。

「いびきかいて寝てる人を揺すってみたら、いびきがやんだ」という日常体験を要素分解して、それぞれをデバイスで代替させることで一つの商品に仕上げている。

1.隣で眠る人がうるさい「いびき」を感知する → 音認識
2.「いびき」をかく人の肩をポンと叩く    → 振動(EMS or 枕が膨らむ)

ことヘルステックに関して言えば、特殊なテクノロジーではなく、今回の3事例のように日常生活をヒントに生まれたテクノロジーが受け入れられやすいと思う。自分の身体に関することなので、あまり不自然な特殊な原理だと、ユーザー視点としてちょっと受け入れ難い。日常のふとした行為をデバイスが代替してくれるんですよ、という立て付けがちょうどいいように思う。また特に”いびきを止めるマクラ”のように誰もが寝るときに使うマクラ型にしているのは、日常導線に組み込まれていて使用ハードルが低くて良いと思う(普段寝る前にイヤホンを付けたり喉にパッチを貼る人はそれほどいない)

ヘルステックを活用した新しいプロダクトやサービスを開発する上で、「日常の因数分解からのテクノロジーへの代替」という切り口を持っていると良いと思う。

 

※さいごに

いびきには睡眠時無呼吸症候群などが潜んでいる可能性もあるので、必要に応じて医療機関に相談することをお勧めいたします。