琥珀色のブックエンド

well-beingの実現がライフワーク

ヘルスケア特化型REITは、未来の「居場所」を作る

 2020年春、コロナショックの影響もありREITが激しく下落している。3/23週は少し戻しつつあるものの、東証REIT指数は2/21と比べて約35%下落している。日経平均株価の下落も騒がれているが同期間の下落率は23%ほどで、いかに東証REITが短期間で暴落しているかがよく分かる。

そのREIT商品の中で、少し異色な商品がある。通常、不動産投資の対象となりそうなオフィスビル、ホテル、マンションではなく、ヘルスケア系の不動産に特化したREIT「ヘルスケア&メディカル投資法人」だ。主に介護施設を保有しており、そこから賃貸収益を得る。

project.nikkeibp.co.jp

ヘルスケア&メディカル投資法人 概要

3/24 終値:100,800円

分配金利回り:6.24%

HPに記載されている。代表の挨拶を抜粋引用する。

本投資法人は、高齢社会の進展に対応するために整備・拡充が求められる高齢者向け施設・住宅及び医療関連施設等のヘルスケア施設へ継続的に投資し、長期安定的に保有することで、国民一人ひとりが安心して生き生きと生活できる社会の実現を目指します。

引用:http://hcm3455.co.jp/ja/about/index.html

同じREITでも、森ヒルズREIT法人とは全く違うコンセプトなのは明確だ。

本投資法人は、「ヒルズ」に象徴されるような21世紀のライフスタイル、ワークスタイルをリードすると考えるエリア及び物件を中心とする選別的な投資、すなわち「Investment in the city~『都市』への投資」を通じて、ポートフォリオの着実な成長投資主価値の最大化を図ります。

引用:https://www.mori-hills-reit.co.jp/outline/basic_policy/tabid/101/Default.aspx

かたや「長期安定保有」「安心して生き生きと生活できる社会の実現」を目指し、

かたや「ポートフォリオの着実な成長」「投資主価値の最大化」を目指す。

どちらが良いというものではないが、ヘルスケア特化型REITの立ち位置がよく分かる。HPは投資家に読ませることを念頭に置いていると思われるが、このように社会性を強く押し出したメッセージを発信している。

 

ヘルスケア&メディカル投資法人が所有する物件の一例が、神戸学園都市ビルだ。中核テナントは介護付有料老人ホームで、他にもクリニックや調剤薬局を抱えている。介護付有料老人ホームの居室とリハビリルームは、とても綺麗だ。入居には敷金25.4万円、月額約30万円(家賃・介護費・3食込)の費用がかかる。

www.greenlife-inc.co.jp

引用:http://hcm3455.co.jp/ja/portfolio/detail.019.html

ヘルスケア特化REITの将来性

人生100年時代に介護施設の需要は間違いなく強いだろう。人口動態で考えても間違いなく、介護施設の顧客となる方々の数は増加傾向は続く。その意味でもヘルスケア特化REITの将来性は堅調だと思う。

加えてこうしたREITの扱う物件のニーズはより高まると思う。ポートフォリオにある物件は、いわゆる老人ホームではなく医療サービス付シェアハウスと捉えた方が良いかもしれない。老人ホームというと暗いイメージを持つ方もいるかもしれないし、実際今もそういった施設はあるかもしれない。ヘルスケア&メディカル投資法人の所有する物件は、比較的価格は高くグレードが高い物件だ。

もっとも重要な点として、ヘルスケア特化型REITは多くの人の不安に対して未来の「居場所」を確保していると思う。物質的に多くの物が満たされた今、私たちが求めるものは「居場所」だ。社会的なつながりを保ち、自分らしい尊厳を保ちながら暮らせる環境は何にも変えられない価値があると思う。

例えば、西野亮廣氏が語る「オンラインサロンで、お金を払って働く」という行為はその象徴だと思う。西野氏はあえて注目を集めるためにエッジの効いた表現をしている面もあると思うが、働く行為には、①生きるために対価としての報酬を得ること、②自分の居場所を得て自己実現を図ることの両面がある。AIやロボットの発達で人々が物質的に豊かになれば、①の意味合いは相対的に低下して、②の意味合いが高まってくる。皆「居場所」を求めている。

 

人生の終盤は、学校や仕事への自由度は高い。無理に行く必要はない。逆に言えば社会における「居場所」は、自分で見つけなければいけない。そうこうしているうちに、食事を作ったり洗濯をしたり身の回りの活動が少しずつ不自由になる。そんな時に、単に身の回りの世話をしてくれるだけでなく、社会における自分の「居場所」を確保してくれる場所があればどんなに心強いだろうか。今更のことだが少子化・共働き・都市化が進んだことで、自分の子供夫妻に世話をしてもらいながら余生を過ごすことは難しい。

私はいわゆるミレニアル世代だが、すでに50年後自分の「居場所」はどこにあるのか不安に感じることがある。まさにここにお金を払うことで未来の「居場所」が確保できるなら、これほど心強いことはない。ヘルスケア特化型REITのニーズは大きいように思う。

ヘルスケア特化REITのリスク

介護施設や病院はそれほど利便性の高い(=一般的に賃料が上昇しやすい)立地を求めない。対象的にオフィスは、利便性に対して多くの対価を払うことがある。先日メルカリに1株あたりわずか1円相当で買収されたオリガミが好例だろう。オリガミが身の丈に合わない家賃を払ってまでも六本木ヒルズにオフィスを構えたのは、上昇気流に乗るスタートアップ企業であることを投資家に印象付けより投資資金を呼び込むこと、そして野心的な労働者を集めることの2つの目的があったとよく言われる。(経営者が女子アナと出会いたかったという目的もあったのかもしれない。)

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この点で言えば、多少の波はあれ順調に経済成長が続くようであれば、冒頭で比較した森REITのようなオフィス物件を抱えるREITの方が、賃料UP・分配金UPを期待できる良い投資対象と言えるかもしれない。

最後に

REIT投資は少しとっつきにくい印象もあるが、幸か不幸か割安な相場環境ではあるので、ヘルスケア特化型REITを皮切りに少し調べてみたいと思う。

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投資は自己責任でお願いしますね。幸運を!