2020年卒大学生の就職企業人気ランキングが発表されました。
理系1位はソニー、文系1位はJTBグループだそうです。
このランキングは、企業の今後の株価を予測する上で役立つのでしょうか?
上位企業は投資家にも人気があり株価は十分に上昇しており、今後の上昇は見込みにくいという考え方もできます。
一方で大学生は新しいトレンドを作る力があり、将来発展する企業を直感的に見抜く力がありそうに思います。次のトレンドを掴むために、大学生を対象とした調査を実施して、商品開発のヒントにしている企業も多いようです。
大学生に人気の企業は、今後投資家の予測を上回る成長を遂げる可能性もありそうです。
実際に過去のランキング上位企業の株価の推移を確認してみます。
2010年卒ランキング上位企業の株価推移
ちょうど10年前の、2010年卒大学生の就職企業人気ランキングを参照します。
理系文系人気TOP10企業のうち、2009年から上場している15社を対象に10年間の株価推移を検証します。日経平均採用企業が多いので、日経平均株価と比較します。
2009年はリーマンショック後ということで、日経平均株価は8,750円と非常に低迷していた時代です。その後10年間で、日経平均株価は21,871円と250%上昇を見せました。就職人気ランキング企業の株価は、この250%というパフォーマンスを超えたのでしょうか?
就職人気ランキング企業15社のうち、日経平均を超えたのはたった3社です。3勝12敗です。15社平均のパフォーマンスも2009年比221%と、日経平均の250%を下回っています。
単純にこの結果を見ると、就職人気企業銘柄はあまり推奨できないようです。トレンドを生み出す感度の高い大学生も多くいるでしょうが、人気ランキングはどうしても知名度の高い企業=その時点で株価も十分に高い企業になってしまうのでしょう。
ただし、資生堂やオリエンタルランドといった、日経平均を大きく上回る急上昇銘柄を見抜く一つのヒントにはなるのかもしれません。どちらもの企業も、さらに10年前1999年のランキングから大きく順位を上げた企業です。資生堂11位→2位、オリエンタルランド圏外→7位。とはいえ絶対の法則ではありません。たとえば、ANAも同様に18位→3位と大きく順位を上げた企業ですが、株価は108%上昇と日経平均を下回るパフォーマンスでした。あくまで一つのヒントくらいの認識が良さそうです。
2020年卒ランキング上位企業の株価予測
この10年の推移を見るに、単純にこれらの銘柄を買うだけでは日経平均株価を上回るパフォーマンスは難しそうです。
では、10年前もランキングが大きくアップした企業の中に、株価も大きくアップした企業(資生堂552%、オリエンタルランド811%)があったように、このランキングの中にも大化けする銘柄はあるのでしょうか。
就職ランキングからの注目銘柄3選
コナミグループ、森永乳業、オムロンといった企業は10年前のランキングには顔を見せず、学生人気の高まってきている企業です。
あえて共通点を見出すなら、3社ともこれからの高齢化社会、健康長寿社会にマッチした健康分野に強みを持っていることでしょう。元々は健康分野以外を主力事業としつつ、上手く健康分野の事業を拡大させています。
コナミグループは、国内スポーツクラブ業界No'1企業です。
森永乳業は、「ビフィズス菌BB536」や「ラクトフェリン」など健康素材の研究開発に強みを持ちます。
オムロンは、家庭用血圧測定器の世界シェア50%を占めます。
たかが就職人気ランキング、されど就職人気ランキングです。
大学生が人生のファーストキャリアとしてベストだと考える未来予測が反映されています。個別銘柄の予測は難しいものですが、一つのヒントとして捉えるのも面白いかもしれません。
以前検証した、雑誌の推奨銘柄よりは高パフォーマンスが期待できると考えています。今後この3社には少し着目してウォッチしていこうと思います。