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ビジネスマンの能力ピークと収入ピーク 

ビジネスパーソンとしてのキャリアのピークについて、考えてみました。

昨今「働かないおじさん」※というキーワードとともに、下表のような生産性カーブと賃金カーブのギャップを示すグラフをよく見ます。若いうちは薄給でバリバリ働き、将来その分の見返りとなる報酬を受け取るという賃金モデルですね。

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引用:プレジデントウーマン

生産性・賃金カーブについて検証してみた

本記事は、ビジネスマンの生産性・賃金カーブについて検証するとともに、今後の賃金形態に関する未来予測をまとめています。ご自身の年齢とコンディションを見定め、いま何をすべきかキャリアを考えるヒントになれば幸いです。

ビジネスマンの生産性のピーク

50代社員が振り返るキャリアのピーク

キャリアのピークをどう定義するかは様々あると思います。

ここでは、50代のビジネスマン2,043名に「学校を出てから、現在に至るまでの職業生活の浮き沈み」を聞いた調査結果を紹介します。

出典は、厚生労働省が所管する労働政策研究・研修機構が2010年に発表した「成人キャリア発達に関する調査研究―50代就業者が振り返るキャリア形成―」というレポートです。

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ライフラインの全体の傾向(左)と性別の曲線の形状の違い(右)

全体でみるとキャリア曲線のピークは30代前半という結果でした。特に男性ではその傾向が顕著です。ビジネスマンが能力を最大限発揮できる生産性のピークは30代前半なのかもしれません。

女性は50代後半がピークです。ただこれは生物的な違いというよりは、この世代が30歳前後であった1990年当時は、まだまだ女性の社会進出が十分ではなかったという社会背景も影響しているのかもしれません。

科学的には生産性のピークはいつか?

科学的な生産性と年齢に関する研究としては、2015年に出されたJoshua K. Hartshorne氏らの論文が、多面的で参考になります。下表Aは10,394名(10-60歳)、Bは11,532名(10-71歳)を対象に行われた大規模な研究であり、信頼性も高いデータです。

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Psychol Sci. 2015 April ; 26(4): 433–443. Fig.3

能力ごとにピーク年齢が違いますが、全体的にみて各能力がバランスよく高いレベルにあるのは30代になりそうです。それぞれの能力の詳細を見ていきます。

単調な事務処理スピードのピーク年齢(緑色)

ピーク年齢は約20歳で、その後はずっと低下していきます。

学校を卒業したばかりの新人にエクセル処理などの膨大な事務作業を頼むのは、彼らがトップパフォーマンスを発揮できる年齢だからであり理にかなっているかもしれませんね。

情報をまとめ整理する能力のピーク年齢(赤色青色

ピーク年齢は30歳前後で、その後はなだらかな低下傾向となります。

複数の資料をまとめ結論を導き出したり、会議で様々な意見を集約して考えをまとめるスキルに反映される能力です。まさにプロジェクトマネージャーに求められる能力ですね。

他人の気持ちを推し量る能力のピーク年齢(ピンク色

20歳頃一気に成長し、その後もなだらかに成長し続け40代50代でピークとなります。

チームメンバーや取引先の表情や仕草から、その気持ちを察する能力です。組織の中で多くのメンバーを束ねる際に求められる能力ですね。

語彙力のピーク年齢(灰色

キャリアを通して成長し続け、そのピークは60代です。

ボキャブラリーが際立って役立つビジネスシーンは、そう多くはないかもしれません。例えば、適切な助言を与える時に役立つ能力だと思います。

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以上の情報から考えると、ビジネスマンの生産性のカーブは30代頃にありそうです。特に変化の激しい時代においては、過去の知識だけでなくいかに新しい情報に触れ最適解を導き出すかが強く求められるため、情報処理能力が必要だと思います。

ビジネスパーソンの年収のピーク

年収のピークは50-54代で、平均額は756万円です。50代がピークになる構造は20年前と変わりませんが、年齢による上昇幅はかなり減っています。

日経ビジネスの記事(下表)が分かりやすいです。

出典:日経ビジネス

今後は年齢による賃金カーブがよりフラットになるどころか、年収のピーク年齢も変わる可能性があると考えます。

現状はまだ、稼げるピークは50代です。しかし今後は、稼げるピークは最高のパフォーマンスを発揮できる時期にシフトしていくと考えます。

これまでは個々のパフォーマンスを定量化しにくかったため、年齢という定量的な指標を用いて収入を決めそれが合理的に機能していた面もあると思います。

ただ今後は、リモートワークの普及により、個々の成果を定量化する仕組みがより求められるようになると思います。

また終身雇用制の見直しと並行して年功序列的な賃金システムに見直しがかかる可能性もあります。人口ピラミッド的にベテラン社員の割合が相対的に高くなるこれからの時代は、よりその傾向が強くなる可能性が高いと考えます。

個々のパフォーマンスの定量化が進み、年功序列型の賃金制度への見直し圧力が高まった先にあるのは、プロの成果主義的な賃金制度です。

プロ野球選手年棒ランキング (2018)

2019年シーズン最も稼いでいる野球選手は、29歳の菅野智之選手です。同じチームで比べても、40歳のレジェンド阿部選手や60歳の原監督よりも高い年棒を貰っています。

もちろん上下関係はしっかりあるでしょう。29歳の菅野選手にとって、原監督はボスなのでその指示は絶対でしょうし、40歳の阿部選手はチームの大先輩であり敬う存在でしょう。

しかしながら年俸は、この3人の中でトップです。

その他年俸上位にランクする選手も、柳田選手30歳、坂本選手30歳、浅村選手28歳など30歳前後の選手ばかりです。(年齢は2019年時点)

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参考:https://www.nishinippon.co.jp/nsp/nbp/article/474291/

日本将棋連盟 獲得賞金・対局料ベスト10 (2018)

「そりゃプロスポーツのような肉体競技は、30歳前後の若い選手が成績も良くて給料もいいだろう。知識や経験で勝負する私たちのビジネスの世界とは全然違うよ。」

と思うかもしれません。

では頭脳で戦う将棋の世界はどうでしょうか。

将棋というと、おじいちゃんの趣味。プロ棋士も、袴を着たおじさんのイメージです。

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参考:https://www.shogi.or.jp/news/2019/02/201810.html

ところが賞金ランキングベスト10を見ると、40代3名、30代3名、20代4名とかなり若い棋士が上位にいます。50代60代でベスト10はゼロです。2017年も同じような傾向で、50代60代のベスト10はゼロです。

将棋の世界で、成果をあげて稼いでいるのは30代前後なのです。前に示した「頭の生産性のピークは30代」という結果と見事にマッチしています。

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ビジネスの世界も、プロフェッショナルの世界です。

プロ野球やプロ棋士の世界と同じように、最高のパフォーマンスを発揮できる時期に、年収もピークになるという構造になる可能性があります。

組織体系としての年控序列は、プロ野球や将棋界と同様ビジネスにおいても残り続けると思います。しかし賃金体系としての年功序列は、ビジネスの世界からも消えてしまうかもしれません。賃金が成果に応じて支払われる傾向がより加速するのは間違い無いでしょう。

能力のピークと収入のピークが一致する時代の生存戦略

徐々にパフォーマンスと報酬が比例する時代にシフトしていく、そんな時代がすぐそこまで来ていることを見据えた方が良いと思います。

プロ野球や将棋の世界では当然の世界ですし、生産性と収入が比例するのはある意味では当たり前です。逆に将来振り返った時に「収入が生産性ではなく、年齢で決まっていた時代なんてあったの?」と不思議がられるかもしれません。

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大切なことは「パフォーマンスのピークが、稼ぎのピークだ」と認識することです。

ここでは具体的には2つのキャリアスタイルがあると思います。 

1)「30代で高収入を得られる環境」に身を置く

ピークの年齢でしっかり稼ぐスタイルです。

ベンチャー企業であれば30代で高い役員報酬を得たり、株式売却益を得ることも可能でしょう。またいわゆる伝統的な日系企業でも、高度IT人材を数千万円の報酬で引き抜くと言うニュースもよく耳にします。あるいは一部の外資系企業は、猛烈な激務ではありますが30代で数千万円を稼ぐことも可能です。

現時点では、30代でガッツリ稼ぎ40代以降はそこそこに稼ぐのはまだややイレギュラーなキャリア形成かと思いますが、今後はもっともっと主流になると思います。

新卒・転職の就職活動において「20代30代のうちにどれだけ稼げるか?」は、長期的なキャリアを見据えた上でも強く意識すべきポイントになるでしょう。

 

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ご自身の能力のピークで稼ぎ切るための環境を知る、良い場だと思います。

2)パフォーマンスのピークを40代50代まで伸ばす

一方、自分自身のスキルが高く評価される分野や、自分が突き詰めたいビジネス領域が、まだ「30代で高収入を得られる環境」にないこともあるでしょう。

そういった場合、必ずしもキャリアチェンジすることはないと思います。

しかし年功序列型の環境であっても、いつまでそれが続くか分かりません。変わりゆく未来に備えて出来ることは、自分のパフォーマンスのピークを40代50代まで伸ばして稼ぎ続ける力を磨くことです。

棋士の羽生善治さんや、騎手の武豊さんなど50歳近くになってもプロの世界で第一線に立たれる方は存在します。もちろんビジネスパーソンの中にも、50代で第一線に立ち鋭い経営判断を下し続ける方もいらっしゃいます。

彼らのように努力と研鑽を重ねトップパフォーマンスを維持することが、より多くのビジネスマンにも求められるようになると思います。 

例えば集中力については40代がピークだという研究報告もあります。プロスポーツ選手が自身の肉体のコンディションを徹底的に管理するのと同じように、ビジネスマンも自分の頭のコンディションを常に管理し続ける時代がきっと来ると考えます。

20代30代のうちから、「頭のコンディション管理」をする習慣をお勧めします。

今後は退職金ゼロ時代も想定されるため、出来るだけ長くパフォーマンスのピークを維持して稼ぎ続ける基盤となる習慣づくりは、ますます大切になってくると思います。

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*1:※高い給料の割に、仕事の生産性が低いベテラン社員を揶揄されて生まれた表現。昨今のリモートワークの普及により一人一人の成果が見えやすくなったことで、さらに顕在化したと言われている。