SPXLは、S&P500に3倍レバレッジを効かせた、ハイリスク・ハイリターンの悪魔的な魅力を持つ投資銘柄です。
私と同じように、SPXLの魅力に心を揺さぶられ、長期投資先として検討している人に、この記事を参考にして頂けたら嬉しいです。
検討の前提となる、このブログの「投資」に関するコンセプトが、こちらです。
- 20代30代で、将来のために長期投資で資産を築いていきたい
- 有望な投資先として、成長を続ける米国株に今後も期待している
このコンセプトのもとで、NISA枠でSPXLに投資するのが適切か考えてみました。
「NISA」「SPXL」と検索してみると、主に次のような意見がヒットしてきます。
[賛成派]
- SPXLはリターンが大きく、NISAの非課税枠をフル活用できる
[否定派]
- SPXLは運用コストが高く、長期投資には不向きである
どっちやねん!
ということで、SPXL(S&P500 3倍レバレッジ指数)が得か、VOO(S&P500 指数)が得か、シミュレーションをしてみました。
簡単に用語の説明も加えているので、参考になれば幸いです。
SPXL関連の用語集
S&P 500
米国大型株の株価指標。米国の主要500社により構成されており、米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしている。日本でいうTOPIXに近い。
SPXL
米国の ETF(上場投資信託)。S&P500の運用実績(手数料・費用控除前)の3倍のパフォーマンスを目指す。日本の証券会社でも購入可能。経費率0.95%。
VOO
米国の ETF(上場投資信託)。S&P500の運用実績(手数料・費用控除前)との連動を目指す。日本の証券会社でも購入可能。経費率0.03%。
ETF(上場投資信託)
ざっくり言えば、少額から、AppleやGoogleなど様々な企業の株をまとめて購入できる商品。S&P500などの株価指数に連動した動きになるよう設定される。
"SPXL" VS "VOO" 運用成績を比較!
単純に考えれば、次のような構造になるでしょう。
① 株価が順調に上昇していれば、レベレッジの効いたSPXLが有利
② 株価の成長率が低いと、SPXLのハイリターンも高い手数料と相殺される
③ 株価が横ばい、下落傾向だと、VOOが有利
気になるのは②の損益分岐点が、どのくらい成長率の時かですね。
5年間のパフォーマンス
18年末に大きく米国株は下げたとはいえ、14-18年の5年間では順調な上昇傾向です。
S&P500は、平均して年率6%で成長しています。
まさに①のパターンですね。
この期間に、毎月初に300ドルずつSPXLないしVOOに、NISA枠で積立投資をした場合の運用成績はこちらです。
毎月300ドル x 5年1ヶ月 = 18,100ドル(約200万円)を投資
SPXLは、+ 4134.2ドル(約45万円)の利益
VOOは、+ 2066.2 ドル(約22.5万円)の利益
SPXLがダブルスコアで勝利です。
それでもやはり経費率(手数料)が高いので、利益が3倍になるわけではないですね。
気になる損益分岐点をシミュレーション
どのくらいの成長率なら、手数料を超えるリターンが期待できるのでしょう。
今回は2014.1以降の株価変動に対して相似形になるよう、各時点の株価変動を調整しました。
上げ下げの傾向は実際の株価変動を反映し、その変動幅を同じ比率で調整しました。
すると、年率1.5%成長あたりが、SPXLとVOOの損益分岐点だと分かりました。
(実際の株価変動に対して、0.225倍という穏やかな変動幅にした場合です。)
もちろん変動の波形によって損益分岐点は変わってくるとは思いますが、一つのケースとして、およそ年率1.5%以上の成長を期待するなら、NISAでのSPXL投資はアリという結論になりそうです。
S&P500が年1.5%以上成長すれば、"SPXL"がVOOより有利
年率1.5%の成長を信じ、NISA枠でSPXLに投資するか?
株価は短期的にはランダムな動きをするという考え方があり、私はそれを信じています。
短期的に年率1.5%の成長をするかどうかは、全く未知数です。
長期的には、米国株はこれまでの歴史が示すよう年率1.5%を上回る成長を遂げると信じています。
NISAの優遇期間である5年間(ロールオーバーしたとしても+数年間)の間に、年平均1.5%の成長を信じられるかというと、微妙です。過去の歴史を振り返っても、5年間を切り取って、年率1.5%成長未満の時期は少なくありません。
残念ながら、NISAでSPXLを購入するのは、私の投資コンセプトには合わなさそうです。
20年間非課税枠で運用可能な「つみたてNISA」であれば、十分にSPXLを選択する余地はあるとは思います。20年30年のスパンであれば、年率1.5%を超える成長を遂げる可能性は極めて高いでしょう。
ただ現時点では、金融庁の指定する「つみたてNISA」の対象商品に、SPXLは入っておらず、つみたてNISA枠では購入することはできません。
SPXLは、NISAでの長期投資に適切か?
ということで、私はSPXLはNISAでの長期投資に適切ではないと判断しました。
コツコツとVTIやVOOのような等倍のインデックス投資を続けていこうと思います。
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※本記事における過去の運用結果に基づくシミュレーションは、将来の運用結果を保証するわけではないことはご了承ください。